結婚指輪や婚約指輪は、人生の一大イベントを彩る大切なアイテムです。これらの指輪に関しては、一般的に左手薬指へ付けるのがマナーとされています。
その歴史的な背景やそこに込められた意味などを知っておくと、大切な指輪に対する思い入れがさらに強くなることでしょう。
目次
左手薬指に着ける意味
左手薬指のルーツは古代ギリシャにあるとされています。
ギリシャ神話の中で、心臓は愛情を始めとする感情の基であり、神聖な場所であると考えられていました。
そして、薬指には心臓と直結する太い血管があるとみなされていたため、結婚相手の左手薬指に指輪をはめることで、配偶者の心をずっととらえておくことができると信じられるようになったのです。
同様の思想は古代エジプトにもあったとされています。加えて、古代ヨーロッパでは左手を信頼の象徴とみなす習慣がありました。こうした考えが合わさって徐々に広まり、それに伴って左手薬指に付ける習慣が始まったというのが一般的な見方です。
一方で、5本ある指のうち薬指が選ばれた背景として、手元で作業をする際に単独で動かすことが少ないため、指輪をぶつけて傷つけてしまったり、何かの拍子に落ちてしまったりするというリスクが少なかったからという見解もあります。
結婚指輪の歴史
結婚指輪に関しては、西暦9世紀にローマ教皇より発布された「指輪を付けていることは結婚していることの証明である」という勅令が直接的な期限となったと考えられています。
それ以降、ローマ文化の広まりに合わせて新郎と新婦に結婚指輪を贈るというセレモニーが徐々に広まっていきます。ヨーロッパ全体で指輪を交換するという習慣が広く受け入れられるようになったのは西暦13世紀ごろのことです。
日本でこの習慣が注目されるようになったのは戦後とされています。ただ、日本では古来よりリング、つまり輪は「終わりのない縁」を象徴するものと考えられてきました。
そのため、永遠の愛を象徴するロマンチックなマリッジアイテムとして、結婚指輪を身に着ける習慣は比較的スムーズに受け入れられて、今日に至っています。
婚約指輪の歴史
婚約の際に男性から女性へ贈り物をするという習慣が始まったのは、西暦前3世紀ごろとされています。
この贈り物を受けとった段階で、2人の婚約関係は法的なものとみなされるようになりました。
その後、ローマ帝国がヨーロッパを治める時代となり、誓いの儀式をする際に鉄製のリングを贈るという習慣が徐々に広まります。やがて鉄製ではなくゴールド製のリングが利用されるようになり、西暦2世紀頃には婚約指輪の習慣がほぼ定着したと考えられています。
ですから、結婚指輪よりもかなり以前からこの習慣は存在していたのです。
他の指に着けた場合の意味
指輪はどの指に付けるかによって異なる意味を持つとされています。
例えば、力強さの象徴である右手親指に付けた場合には、「リーダーシップを発揮する」「指導力を高める」という意味があります。
一方、左手の親指であれば「目標を叶える」「困難な状況に打ち勝つ」という意味合いを持つのです。
アクティブな意味合いを持つ右手人差し指に指輪を付けると「集中力を高める」「目標に向けて意思を固める」といった意味合いを持ちます。
一方、左手の人差し指では「積極的に行動する」「進むべき道を定める」という意味になるのです。
中指は人の持つインスピレーションと深く関連していると考えられています。
そのため、右手の中指に付けた指輪は「直感力を高める」「迅速な行動を促す」という効果があるとされています。一方、左手の中指に指輪を付けることは「対人関係を良好にする」「適切な判断を下す」といった意味合いがあるのです。
薬指は「神聖な意味合いを持つ」というイメージが強く、左手に関しては先述の通り「愛が永続する」という意味があります。
また、「幸運を呼び寄せる」という意味で付ける人も珍しくありません。一方、右手の薬指は「恋愛が成就する」「メンタルを安定させる」という意味があるとされています。
小指は変化や幸運と結び付けて考えられており、指輪を付けることでその効果が高まるとされています。右手の小指に関しては、「魅力を引き出す」「自分らしさが輝く」といった効果があるとされています。
一方、左手の小指に指輪を付けることには「チャンスを生かす」「新たな恋を引き寄せる」といった意味が付されているのです。
こうした理由から、既婚者であるかどうかに関わりなく、運勢向上などを願って両手のいろいろな指にアクセサリーとして指輪を付ける人は少なくありません。
まとめ
新郎新婦が結婚指輪を交換して左手の薬指に付けるという習慣には数百年に及ぶ長い歴史があり、配偶者同士の永続する強い繋がりを示すものとして今日まで受け継がれています。
結婚に向けた準備を進める中で、こうしたルーツに思いを馳せてみるというのも楽しいひと時となるでしょう。